【ネタバレ】音楽劇『マリウス』観劇しました【感想】

マリウス行ってきましたー!
FC枠で落選し、松竹座のwebでチケットを取りましたので3階席でしたが、アマデウスぶりの松竹座に興奮でした。


今回は照史くんが、今井翼くんの代役で舞台単独初主演ということで、色々とドキドキしながら観させていただきました。


ほぼ既に出来上がっているカンパニーの中に、それも再演で、主役として飛び込む。
もちろん照史くんはこの世界に十数年いるプロですけど、私のような一般人が想像するともう足が震えるほど緊張するような状況だなと思っていましたので。。


けれど。


そこにいたのは、紛れもなく堂々と立つ桐山マリウスで。


なんだろうか、今までとはまた違った迫力と色気があって、釘付けになりました。




というわけでここから思いっきりネタバレしますので、まだ観られていない方などご注意を。







舞台はマルセイユ。
マリウスの父セザールのお店とその前の道、そして桟橋が主なセットで遠くに大きな船と街並みが見えます。


このセットがまあ綺麗。



とにかく背景までひとつひとつがとても丁寧に作られていて。


特にセザールのお店なんて、ほんとに隅々まで作りこまれていて、それでいて作り物感がなくて、とにかくセットとは思えないクオリティ。
思わず何回か双眼鏡で観察しちゃいましたけど、例えばステンドグラス風の照明とかも、細かいところまで配色が微妙に違ったりしていて。


しかも途中で動いて壁側も現れる。

どうなっとるんや、、舞台袖ってそんなに広くはないですよね??
何から何まで計算されている、、


まずはそんなセットに夢中になりました。




あとはバンドがチラッと見えるんです!
生演奏。
ブラブラぶりだ~~と感動しました。




冒頭は、セザールや街の人たちの、他愛もない会話ややり取りから始まります。
良くも悪くも平和で、単純で、馬鹿馬鹿しくて。
街を出たいと願うマリウスの、心情がよくわかるような導入でした。


パンフレットで照史くんも言っていますけど、関西の街のような感じ。
私の故郷もとにかく良くも悪くも狭い世界で、地元から離れる人が少ない分、噂はすぐに回るし、みんなのんびりと生きている。
そんな故郷がなんとなく嫌で離れましたけど、今でも度々戻っては居心地のよさについつい甘えてしまうのですが。。






セザールを演じる柄本明さんはもう圧巻というかなんというか。
生のお芝居は初めて見たけど、ほんとどこからがアドリブなのかわからないぐらい父ちゃんそのものでしかなくて。。
お芝居の全てに嘘を感じないというか、いやお芝居なのだから全て偽りなのだけれど、たしかにそこにセザールという人間が存在していて。
ただただすごいなぁと思いました。






瀧本美織ちゃん。
生のお芝居は同じく初めて拝見。
声がとてもいいなと思いました。
なんだろう、それこそ寅さんの映画の中にいても何にも違和感がないくらい、変な言い方すると平成感がなくて。
小さな町で生まれ育ち、強く生きていくことに説得力のある声とお芝居。




アンサンブルの方たちもすごく素敵で、メインを邪魔しない程度に、しかし確実にそこに存在していて、何をしているのかな、何を話しているのかな、どんなことを考えているのかな…ひとりひとりのドラマを覗きたくなるような、そんな人たちでした。








感想としては、私は前回の公演は観ていないし、寅さんだってちゃんとは観たことがないし。
とにかく全くの素人の感じたことを書きます。




男と女、夢と現実。
そんなことについてずっと考えながら観ていました。


マリウスがマルセイユに戻ってくるまでのこと。
マリウスの視点から見れば、船に乗りたいという夢があって、街を出たいという願望があって。
そんな中、大好きなファニーと愛を確かめ、愛し合って、そんな相手が船に乗りなさいと言ってくれて、親に黙って船に乗り込む。


セザールに後ろめたさはあるかもしれないけれど、愛する人がいて、そんな相手が夢を認めてくれて、夢を叶えることができて。こんなに嬉しいことはないかもしれない。




一方でファニーは、大好きなマリウスが離れてしまうのを察して、一度は愛で繋ぎ止めて。
けれど、愛し合った後、大人になり新たな目で世界を見たときに何が一番望ましいことなのか、相手の幸せを一番に考えてマリウスが夢を追うことを許す。




けれども、ファニーのお腹の中には、マリウスの子どもが宿っていた。
狭い街、マルセイユで、事情を知られたらどうなるか。ファニーは、家族は、そしてお腹の子は。




ファニーはパニスの妻となった。




帰ってきて事情を知ったマリウスは、可哀想だったかもしれない。


けれども、人を愛するということがどういうことなのか、マリウスはわかってはいなかったのかもしれないと思いました。




男と女とが愛し合うということは、そういうことなのだと。
例え好き合っていても、相手のことを、それ以外のことを、しっかりと考えていなければ、一緒にはいられないこともある。




ただ、ファニーも愛を受け入れた立場であって、その点に関しては、ファニーもまたその日まで愛し合うことがどういうことかをわかりきってはいなかったのだと思いました。


夢を追うことが悪ではないし、夢を追うことを許すことは立派なこと。


けれども、愛も夢も全てを手に入れようと思ったとき、人は大切なものを、大切なことを、忘れてしまいがちなのかもしれないなと考えました。




また、ファニーに指一本触れずに、子どもに愛情をかけ続けたパニスもとても切なくて。
気が狂いそうなくらいに子どもを守ろうとしている姿は、見ていて苦しかった。




誰かが悪いわけではないし、そのための全ての選択であったことは確かなのだけれど、こんなにも切ない物語があっていいのかと。。




夢を追うことも、夢を後押しすることも、愛し合うことも、夢を叶えることも、誰かの幸せを考えることも、全て素敵なことで、素晴らしいことで。
けれども少しのタイミングのずれや運命のいたずらで、こうも事態が変わってしまうこと。
それがなんとも切なかった。




それでも最後のファニーの「マリウスー!」という叫びが救いというか、思い合うことはどんな状況であろうと本気であれば失われないのだなと、好き合って一緒にいることだけが愛ではないことを知ったのでした。










さて、こここら桐山照史くんのお話を。


あの~~、、お髭が似合いすぎ。
セクシーにもほどがある、、あと小顔さと足の長さが強調されて「ほら!ほら世間!!桐山照史かっこいいだろ!!!見たか!!!」とお節介モンペ婆が顔を出しそうになりました。


なんだろう、もう佇まいが。
最高か。。




音楽劇ということで歌声も。
なんというか、発声がまた良くなっている気がします(※素人です)
お腹からしっかり出ていて、厚みが全然違う気が。もちろん元から上手なのだけれど、たとえばブラブラの時はまだ軽さが残っていたのだけれど、今回はそういう軽さは感じず。




まっすぐ歌うことが多かったので、その佇まいも相まって聞き惚れ&見惚れてしまいました。。




そしてフラメンコ!
正直、こういうものはやはり経験がものをいうのだろうなと思いました(技術の上手い下手だけでなく、フラメンコが日常にあるかどうかというか)
なんたって今井翼くん主演の公演ですしね。


それでいえば、照史くんは全く初心者(だよね?)から数ヶ月で身につけたものなので、やはり一生懸命さは見え隠れしていたのだけれど、一方でその短期間でしっかりと身につけたのがわかるくらいに気迫のあるフラメンコでした。


幕が一度降りてからのフラメンコは素敵だったな~フラメンコって実はちょっと難しいなって思ってたんですけど、楽しかったです。ああいう盛り上がり方でいいのかはわからないけど(笑)






しかし、松竹座のど真ん中で、大先輩の名誉ある代役で、声を響かせ芝居をする照史くんはとてつもなく大きな男に見えてとても誇らしかったです。




神ちゃんのオセローもそうですけど、事務所の大きな先輩のピンチを、きっとこいつなら救ってくれると抜擢されるということが、ただただ誇らしいです。


そりゃ、スケジュールの問題があるのもわかりますけど、それだけでは決められないじゃないでか。




それが、今回しっかりと演じる照史くんを見て、改めて間違いないなと思いました。








素敵な舞台だったなあ。。

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